ニッセイ基礎研究所の調査によると、年約3万人が孤独死し、同研究所の調査を基にした試算では1000万人が孤独状態にあるというデータもあります。
そして、孤独死は高齢者の問題だと思われるかもしれません。しかし、実際には65歳以下の現役世代の人の方が多いようです。
このように、30代や40代でも孤独死について知っておくことは必要だと思います。
今回は菅野久美子さんの『家族遺棄社会』を紹介します。
先ほど読み終わったのですが、かなり重い話が連続して出てくるのでかなり疲れました。
しかし、先にも言った通り孤独死について知っておくことは必要だし、この本で孤独死についての現実を知ることができたので読んでよかったと思います。
それでは本の紹介に進みます。
『家族遺棄社会』の内容
この本の目次
- 親を捨てたい人々
- 捨てられた家族の行方
- 孤独死の現場から
- 家族遺棄社会はどこからきたのか?
- 家族遺棄社会と戦う人々
【孤独死】30代でも他人事ではない?『家族遺棄社会』を読んで

孤独死するケースは年々増加しているそうです。
そして、孤独死してしまうのは高齢者と言うイメージがあるけど、実際には働き盛りの30代、40代が多いのだそうです。
その理由として高齢者は地域の目に守られているケースが多いから。しかし、若い世代はそうではありません。
誰にでも若いから孤独死なんてしないと言う思い込みがあるはずです。その為、発見が遅れることが多くてかなりひどい状態まで放置されてしまうんだそうです。
そして、若くして孤独死してしまう人に共通することがこの本を読んで分かりました。
- 内向的で真面目なために人に頼れない
- 友達がいない
- 家族と疎遠
- 仕事をしていなくて引きこもりがち
以上の4つに当てはまったら注意が必要です。
内向的な人は友達も少ない方が多くて孤立してしまいがちです。そして、人との繋がりも職場だけと言うことも珍しくありません。
たとえ職場だけの薄っぺらい付き合いだとしても、そこには孤独を癒す効果があります。しかし、その人間関係も絶ってしまったら残るは親や兄弟だけです。
でも、悲しいことに1番身近な存在であるはずの親とさえ疎遠になっているケースが非常に多いようです。
そして、最後は生きる気力もなくなり生活も荒れ果ててしまう。孤独死の現場ではゴミの山が出来ているのがその事実を物語っています。
では孤独死をどうやって防げばいいのでしょうか?
孤独死を防げるのは自分自身だけ
苦しかったら周りに助けを求める勇気を持って。
声を上げてくれないと、その存在すら見つけられない。
家族遺棄社会 P170より
このように孤立してしまった状況では、自分から声を上げなければ気づいてもらえません。
長いこと孤立し、引きこもりの状態になると外に出ることさえ怖く感じたり、人と会うだけでも恐怖を感じると思います。
しかし、そこで声を上げなければあとは死しかありません。
著者もこんなことを言っています。
勇気を持って殻を突き破り一歩を踏み出すこと。そして繋がれる仲間を探すこと。
それが結果的に自分を苦しめる状況から抜け出すことにつながる。
家族遺棄社会 P170より
これから来る超高齢化社会に備えるべきこと

そして、考えなくてはいけないことはこれからはもっと孤独死が増えると言うことです。
2040年には65歳以上の単身者が40パーセントになると言われています。
そして、コロナ後のことも考えなくてはいけません。
まだどうなるか分からないコロナですけど、間違いなく孤独死に影響を与えるはずです。
なぜかと言うと、仮にコロナが完全に終息したとしても今までと同じ生活には戻らないと思うからです。
今でさえテレワークなどが進んでいて、自宅で仕事をする人が多くなりました。そして、テレワークで問題ないと分かったらコロナが終息しても元には戻りません。
これからは、ますます人と人の繋がりが少なくなってきます。
そして、著者もこれから重要なことは「つながり」だと言っています。
孤立せずお互いを支え合いながら生きていくために、家族だけにはとどまらない、人と人とのつながりをいかに持てるかが重要になってくる。
1人がすべてを背負うのではなく、その役割を分担すること。「お互い様」の関係性を作っておくこと。
しかし、その相手を作ることが益々困難な時代へと突入しているのは確かだ。
それでも、やはり、強固ではないにしても、ゆるいつながりは必要なのだ。
家族遺棄社会 p158
まとめ:『家族遺棄社会』を読んで
今回は『家族遺棄社会』を紹介しました。
なかなか重い話の連続で疲れましたが、なんとか読みきれて良かったです。
それに、まだまだ孤独死なんて関係ないと思っていたけど、自分と同じくらいの年代の方が、たくさん亡くなっていると言う事実を知って孤独死を身近に考えられるようになりました。
そして、孤独死を防ぐには「つながり」を持つことが重要です。
若い方だと結婚もしたくない、友達もいらないなど「つながり」なんて要らないと言う人が増えていると聞きます。
しかし、現実にはそういう方が最後には孤独死になってしまうのかなと感じました。
かなり重い話の本だけど、すべての人に読んで欲しいと思う本ですので読んでみてください!以上です。
子供を捨てる親、親と関わりを持ちたくない子供。セルフネグレストの末の孤独死。放置される遺骨、、、
孤立・孤独者1000万人の時代。リストラや病気など、ふとしたこたことで誰もが孤立へと追いやられる可能性がある。
この問題を追い続けてきた第一人者が、ふつうの人が突然陥る「家族遺棄社会」の現実をリアルに取材。そんな日本社会に懸命に向き合う人々の実態にもせまる衝撃のノンフィクション。