【ジャガイモの危機】日本の品種はすごい/竹下大学著

日本の2大巨頭 男爵芋とメークイン

日本のジャガイモと言えば男爵芋とメークインだ。男爵芋は川田龍吉男爵が個人導入し、自身の農場で作ったのがはじまりだ。

男爵芋というネーミングは龍吉のおっちょこちょいがなければ付けられなかった。なんと龍吉はその芋の品種名を忘れてしまったのだ。

そのため、その謎の芋は来歴不明の品種と扱われた。それだと不便だということで『男爵芋』が正式名称になったようだ。この男爵芋は正式名称は『アイリッシュコブラー』と言うらしい。ずいぶんとオシャレな名前だったじゃないか?w

みんなが男爵芋と呼んでいる芋をこれからは「アイリッシュコブラー」と呼ぼう。その方がスタイリッシュに生きられそうじゃないか?どうだろう?

メークインも日本を代表する品種だ。

日本には1913年以前には入ってきたらしいが、いつ誰が日本に持ち込んだのかは謎になっている。

メークインは煮物に適している。なぜなら煮崩れしにくい品種だからだ。メークインが関西から広まったというのもなんだか頷ける話だ。

なぜ煮崩れしにくいか?それは、メークインに含まれるデンプン価が低いからだという説があるが、まだ完全には解明されていないそうだ。

そして、メークインは男爵芋と比べて「えぐみ」が強い。このえぐみの強さを決めているのは「ポテトグリコルカロイド」と呼ばれる物質だ。

ポテトグリコルカロイドは光に当たると増殖する作用がある。ジャガイモを光に当てては行けないと言われているのはこのためである。ジャガイモは新聞紙でくるめ。たとえ、野菜室でもだ。

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世界一の芋 ラセットバーバンク

しかし、この二つのジャガイモはみんな大好きマックフライポテトには適さない。なぜなら、糖分が多いからだ。糖分が多いと茶色く変色してしまう。

そこで、マックフライポテトに使われるのは、『ラセットバーバンク』と呼ばれる品種。いまでもマックだけではなく、ロッテリアもラセットバーバンク。なくてはならないジャガイモになっている。

ラセットバーバンクは突如現れたジャガイモだと言われている、突然変異だ。そのもとのジャガイモはバーバンクポテトと呼ばれる。

このバーバンクポテトを作った人物は「ルーサー・バーバンク

何かを生み出す人を発明家と言う。

誰でも、エジソン、フォードは知っているだろう?発明家と言えばこの二人を思い浮かべる。

しかし、ルーサー・バーバンクはこの偉大な発明家と肩を並べる存在なのだ。発明家はエジソン、フォードだけではない。バーンバンクがいることを忘れてはならない。

では、バーバンクが発明家として認知されていないのはなぜだろう?バーバンクがいなければラセットバーバンクはなかったかもしれないのに。

光は人間を豊かにしたけれど人間らしい暮らしを奪っている。自動車は人間を便利にしたけれど人間らしい活動を抑制している。しかし、マックフライポテトは人間を幸せにし飢えから救っているではないか。

その訳は特許がなかったからだ。当時、食物で特許は申請できなかった。もし特許が取れていたらルーサー・バーバンクはもっと認知されていたことだろう。

バーバンクに感謝しながらポテトを食べようではないか。

ジャガイモの危機 ジャガイモシストセンチュウとジャガイモシロシストセンチュウ

そんなジャガイモの敵はジャガイモシストセンチュウと言う外来害虫だ。ジャガイモシストセンチュウは良かれと思い撒いた海鳥のフンなどの肥料から広がってしまったようだ。

ジャガイモはジャガイモシストセンチュウに寄生されると収穫量が大幅に下がってしまう。それはジャガイモの欠点にある。

ジャガイモは栄養繁殖性だ。栄養繁殖性とはクローンと同義だ。つまり、遺伝的特徴がまったく同じ特性を持つ。

そのため、病害に弱くあっという間に広がり全滅してしまう。このジャガイモシストセンチュウと戦うのが育種家だ。

育種家とはブリーダーのこと。わんちゃんやお馬さんだけではなく、食物の世界にもブリーダーは存在する。彼らの仕事は品種改良。病害に強い美味しい食物を日々作り出している。

ジャガイモシストセンチュウに抵抗する力をつけた品種を抵抗性品種と呼ぶ?代表的なジャガイモは「キタアカリ」だ。さらに言うと「とうや」「さやか」「こがね丸」カルビーが育種した「ぽろしり」もそうだ。

ジャガイモは育種家によって平和な世界を手に入れた。

しかし、そんな平和な世界に翳りが見えたのは2015年。網走でジャガイモシロシストセンチュウが発生した。

ジャガイモシロシストセンチュウは抵抗性品種にも寄生してしまう。それは日本には抵抗性品種がないことを意味する。

そして、まだ抵抗性の有望系統は存在しない。ジャガイモは危機に瀕しているのだ。

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サワ
本が好き。忘れないように記録に残そうと思う。 「好き」「この本」を英語にしてみたらLikeThisbookとなった。戻れるのなら戻りたい。少しでもマシになればと『本好録』とした。もう何がなんだかわからない。気になったら気にしてしまうタイプなのだ。