【吉村昭】三毛別羆事件をモデルにした小説『羆嵐』

『羆嵐』吉村昭

最近、クマさんが気になって仕方がありません。

クマと言ったら「くまのプーさん」を筆頭にかわいい姿をイメージすると思います。

しかし、そんなかわいいクマさんは幻想に過ぎません。

クマさんのことを調べれば調べるほど「クマは恐ろしい動物」としか思えなくなってきます。

そして、クマについて調べていくと、北海道で熊による酷い事件があったとわかりました。その事件とは「三毛別羆事件」です。

有名な羆による事件なのでご存知な方も多いと思います。

そして、その事件を元にして書かれた小説もあることがわかりました。その名も「羆嵐」です。

この本を読んで欲しい方

この小説は実際にあった「三毛別羆事件」を元に書かれているので、三毛別羆事件について、詳しく知りたい方におすすめな本です。

また、羆の生態なども簡単に学べます。もし、あなたの街が羆に襲われた時のための参考になることでしょう。

【吉村昭】三毛別羆事件をモデルにした小説『羆嵐』

最初に言っていくと、この「羆嵐」を読んだらきっと熊のことが大嫌いになることでしょう。クマがかわいいと思うこともなくなると思います。

僕は田舎に住んでいることもあり、よく熊注意という看板や道路の電光掲示板に注意書きが出ているのをよく目にしていました。

でも、そんなこと書いてあっても特に気にしたことなんてなかったです。

「クマでたんだー」とかそんな風にしか思っていませんでした。そして、近所の山にも入っていって行くということもしていました。

でも、もう山には行かないと思います。だって怖すぎますから。

話を戻します。

この小説「熊嵐」は熊についての恐ろしさが理解できるのはもちろんですが、物語として読んだときはすごく面白い本です。

なにより、文章が読みやすいです。「吉村昭」さんの小説は好きで何冊か読んでいますが、どれも一気に読める本ばかりな気がします。

これだけ、グイグイと引き込まれる文章力はすごいと言うしかないです。それは、物語が実際に起きたことを題材にしているのも理由の1つかもしれません。

本当に物語に世界にどっぷりと浸かるという経験をしたのは久しぶりです。これを気に、しばらく離れていた小説を読み直して見たいと思います。

『羆嵐』のあらすじ

北海道天塩山の開拓村を突然恐怖の渦に巻き込んだ一頭の羆の出現!

日本害獣被害史上最大の惨劇は大正4年12月に起こった。冬眠の時期を逃した羆が、わずか2日間に6人の男女を殺害したのである。

鮮血に染まる雪、羆を潜める闇、人骨を齧る不気味な音。。。。

自然の猛威の前で、なす術のない人間たちと、ただ1人沈着に羆と対決する老練な猟師の姿を浮き彫りにうする、ドキュメンタリー長編。

【羆嵐/吉村昭】(新潮文庫あらすじより)

それでは『羆嵐』を読んで面白いと思ったのところを3つ紹介します。

『羆嵐』を読んで面白いと思ったところ3つ

  • 羆は肉食動物である
  • 羆は頭のいい動物である
  • 人間はちっぽけな存在

順番に見ていきます。

羆は肉食動物である

東北地方からの移植者であるかれらには、羆が恐ろしい肉食獣であるという意識は薄く、熊はどことなく愛らしく、動作の飄々とした動物のようにも感じていた。

『羆嵐』より

なんとなく熊って木ノ実や草を食べていてかわいいイメージがあります。しかし、実際には熊は雑食動物です。なんでも食べます。

また内地の熊が木の実などの植物を常食としているのとは異なって、羆は肉食獣である。

その力はきわめて強大で、牛馬の脛骨を一撃で叩き折り内臓、骨まで食べ尽くす。むろん人間も、羆にとっては格好の餌にすぎないという。

『羆嵐』より

人間からすれば、なんてむごいことをするんだと思うかもしれません。しかし、羆からみればそんなことどうでもいいことです。

なぜなら、「ただの餌」だからです。

そこにはなんの感情もありません。

人間は生き物を食べることに対して、少なからず感謝の念みたいなものがあると思います。でも、そんな感情は野生動物にはないんですね。

更に調べてみますと、同じ肉食獣のライオンなんかは獲物の息の根を止めてから食べるのに対して、羆はそんなの関係ないと言わんばかりに、生きたまま食べるそうです。

なので、人間が泣き叫ぼうが、悲嘆にくれようがそんなのお構いましです。このあたりが羆の恐ろしいとこかなと思います。

実際に生きたまま下半身を食べられている最中にお母さんに電話をしたと言う事件もあったそうです。興味がある方は調べてみてください。トラウマ級ですが。。。

羆は頭のいい動物である

羆は頭のいい動物であることがこの本を読んで分かりました。

羆が賢い動物だと言うことことも、かれらの話題になった。

羆は山中を自由に行動するが、老練な猟師の追尾を受けているのに気づくと、足を早める。

人間が通りにくい足場の悪い険阻な場所を故意に選んで猟師の接近を阻もうとする。

吉村昭『羆嵐』より

更に一番衝撃的だったのが羆には「戻り足」という技があることでした。

羆は、土に印される自分の足跡が猟師の執拗な追尾をまねく原因になっていることに気づき、空気の流れにまじる人間の体臭、銃の油の匂いなどから自分をねらう人間が背後に迫っていることをかぎとると、巧妙な手段をとって追尾者を襲うことを企てる。

羆は立ち止まり、歩いてきた道を引き返す。

その折、羆は自らの足跡を慎重に踏み直してゆき、一定の距離を戻るとひそかに近くの茂みに足を踏み入れ身を隠す。

吉村昭『羆嵐』

そして、追尾者が途切れている足跡に気づいて、立ち止まったときに後ろから襲うそうです。

羆ってこんなに頭がいいのかと感心しました。

こんなことを知ってしまったらもう山に入ることすら不可能ですね笑

人間はちっぽけな存在

羆たった1頭に怯えて、手も足も出ない人間がなんて小さい存在なんだとこの作品を読んでいて思いました。

そして、作品中にもでてきますけど、いつも偉そうなことを言っている人や偉そうな態度をとっている人が、羆がでた瞬間におとなしくなっていく姿が印象的でした。

例えば、いつもは狩の自慢をしていた人が、羆と戦うにつれ口数も少なくなって、だんだんとメッキが剥がれていくと言う場面があります。

このような人はどこにもいますね笑

更に警察のお偉い様もそうです。

いつもは高圧的な態度で偉そうな態度をとっているのに、極限状態になると何もできなくなってしまう。

このような理由から、人間って極限状態なると本性がでるなと思いました。そして、このような態度や言動は誰もが陥ることです。

だからこそ、普段から意識して行動したいなと、作品とは関係ないですけど思いました。

まとめ:『羆嵐』を読んで

今回は吉村昭さんの『羆嵐』を読んでみました。

吉村昭さんお作品は久しぶりだったんですが、文章も読みやすいし、ストーリーも事実に基づいているので、臨場感もあって、作品の世界にどっぷりと浸かれます。

そして、僕が個人的に面白いと思ったことは次の3つです。

羆嵐で面白いと思ったこと
  • 羆は肉食動物である:羆はなんでも食べる雑食動物。人間でさえ、餌としか認識していない。出会ったら最後。
  • 羆は頭のいい動物である:追尾者を巻いたり、「戻り足」と言う技をしかけたりして、人間を襲う。
  • 人間はちっぽけな存在:この作品を通して、人間はちっぽけな存在だと再認識。

今回は以上です。ありがとうございます。

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